皆さんは、版や刷の意味をご存知ですか。
よく耳にする言葉でも、案外知らない方が多いのではないでしょうか。
版と刷の意味を解説し、初版が高く売れる理由についてもお話しします。
古本の買収を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
皆さんは、版や刷が本のどの位置に記載されているかご存知でしょうか。
答えは奥付に記載されています。
奥付とは、本の最後のページにある、その本の情報が記載されている部分です。
例えば、本のタイトルや、発行日(版、刷を含む)、著者の情報が記載されています。
まず、印刷の方法を説明します。
江戸時代では、印刷技術が版画ベースであったため、木材に刷られた絵や文字を和紙に印刷していました。
しかし、印刷技術が進んだ現在は、印刷の主流になっているオフセット印刷は、PS版(薄いアルミ板)にインクをつけて刷っています。
このオフセット印刷は、データやPDFの原稿からフィルムを作成して、薄いアルミの板に乗せて露光し、現像します。
インクを塗った際に、文字や絵となる部分にインクが残り、余白にはインクが残りません。
これらの工程を製版、出来上がったものを版といい、版を一度作成すると何枚も量産できます。
原稿を一文字でも修正する場合には、「版」をもう一度、初めから作り直す必要があり、版を作り直した場合は、再販、重版と呼び方が変わります。
これらは、修正を加えるごとに版数が多くなります。
小説の修正は少ないですが、時代に合わせ意味の変更がある辞書は、何度も修正される傾向があるでしょう。
次に刷の意味を説明します。
オフセット印刷では、出来上がった版を輪転機に巻き付け、ゴム製のローラーを間にかませて紙に印刷します。
オフセット印刷の「オフ」は、半についたインクをローラーに移すことです。
ローラーについたインクを紙に転写することを「セット」と言います。
これらの工程が、本の奥付に記載された「刷」に当たるでしょう。
また、版に変更がない場合、例えば初版の部分を変えずに、第2刷と記載されています。
版を変えずに、増し刷りする工程が再刷や増刷です。
次に、上記で解説した版と刷の相違点について共有します。
まず、共通点は、増刷と重版は共に本を再販することです。
本を再販するという大きな括りでは同じですが、しかし、厳密な見解では双方は異なった意味で使われるので注意しましょう。
双方の異なる点は、内容に変更があったかということです。
増刷は、以前と同じ内容で再販することを指します。
1度目は「二刷」2度目は「三刷」3度目は「四刷」と記載されています。
印刷する部数を増加するものが、増刷だと覚えておけば良いでしょう。
特徴として、同じものを擦り直すのみであるため、人件費やデザイン費も発生しないことです。
増刷を繰り返すことで、1刷当たりの原価は低下し、利益率は上がるでしょう。
童話などのロングセラー本は売れ行きが安定しているため、増刷すればするほど利益が発生します。
次に重版とは、内容の編集を行なって再販することです。
例えば、辞書は時代に応じて言葉の増減や意味の変化があるため、内容に修正を加える必要があります。
版を作り直すため、費用は発生するものの、デザイン費が必要ないため、新刊ほどは費用がかかりません。
増刷と重版は、奥付で確認することができ、内容の編集や修正が行われているかが違いとなります。
皆さんは「初版」の意味を説明できますか。
よく耳にする方も多いこの言葉ですが、完璧に理解している方は少ないのではないでしょうか。
また、フリーマケットアプリで見かける「初版です」というコメントからも分かるように、初版のイメージは他の重版より貴重です。
完璧に意味が理解できていない方が多いであろう、初版の意味と、高く売れる理由について解説します。
まず、初版とは、文字通り、出版された最も初めの版です。
中には、第1版とも言います。
また、初版は、今後の発行部数を決める役割もあります。
まず、初版は少なめに印刷されることが一般的です。
なぜなら、初版の売り上げにより、今後の発行部数を決める方が理にかなっているからです。
発行部数が少ないため、世に出回りにくく、貴重なものとして認識されることが多いでしょう。
また、修正がされていない完全オリジナルであることも価値が高い要因です。
誤字や脱字がある場合や、初版のみで発行がストップする、絶版になるケースもあるため、手が加えられる前のオリジナルの文章を楽しめるでしょう。
さらに、作者のサイン入りである場合もあります。
大手の古本買取業者に売却する際は、落書きとみなされますが、コレクターにとっては非常に希少価値の高いものでしょう。
加えて、初版本の帯は重版と異なる場合があります。
一般的な帯は、購買意欲をそそることが効果としてあげられますが、初版本では、有名人の推薦文とは異なり、手の込んだ作者のオリジナリティが詰まったものもあります。
初版本は編集されず、作者自身が初めて書いた本であるため、作者の個性やオリジナルの溢れる初版本は、発行部数も少なく希少価値も高く、高値で取引されるケースがあります。
今回、版と刷についてご紹介しました。
また、初版の古本は、希少価値が高いため、高くで買収にあたってくれます。
版や刷の違いを理解すると、奥付を確認したくなるものでしょう。
当社では、全国の古本店ネットワークから得られる査定力により、高価買収を行なっております。
本の売却をお考えの方は、ぜひご相談ください。